年末年始恒例企画

2021年ベストムービー

 

毎年年末年始の恒例、ベストムービー企画。今年もやります。

眠家オーナー村山が、コロナ禍になって会食や出張がなくなり、その時間を映画館で観ることに充てたことで年間30本鑑賞を達成。

その30本の中から2021年ベストムービーを紹介します。

 

すでにネット配信がスタートしている作品もありますので、この年末年始のお家時間の映画鑑賞の参考にどうぞ。

まずは、2021年に鑑賞した映画リストがこちら。

 

・哀愁しんでれら
・シン・エヴァンゲリオン劇場版
・ホムンクルス
・21ブリッジ
・ザ・スイッチ
・ジェントルメン
・ファーザー
・機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ
・グリーンランド―地球最後の2日間―
・クワイエット・プレイス 破られた沈黙
・Mr.ノーバディ
・ブラック・ウィドウ
・復讐者たち
・竜とそばかすの姫
・ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結
・ドント・ブリーズ2
・孤狼の血 LEVEL2
・シャン・チー/テン・リングスの伝説
・オールド
・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
・空白
・DUNE/ デューン 砂の惑星
・キャンディマン
・エターナルズ
・マリグナント 狂暴な悪夢
・ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ
・ラストナイト・イン・ソーホー
・プロミシング・ヤング・ウーマン
・ゴジラvsコング

・糸

 

ジャンルも様々、大作映画もあれば、カルト映画やアニメもあり。

いったいこの中からどんな映画が選ばれるのでしょうか?

それでは、早速いってみましょう。

 

プロミシング・ヤング・ウーマン

30歳を目前にしたキャシー(キャリー・マリガン)は、ある事件によって医大を中退し、今やカフェの店員として平凡な毎日を送っている。その一方、夜ごとバーで泥酔したフリをして、お持ち帰りオトコたちに裁きを下していた。ある日、大学時代のクラスメートで現在は小児科医となったライアン(ボー・バーナム)がカフェを訪れる。この偶然の再会こそが、キャシーに恋ごころを目覚めさせ、同時に地獄のような悪夢へと連れ戻すことになる……。

 

今年の映画を語る上で外せない一本。

 

フェミニズム映画はここ最近のトレンドでもあるのか、女性が主演で男性が悪役的なポジションの映画が多い。(村山体感)

 

僕は女性の味方でありたいと思っているけれど、ここまでフェミニズム映画が多いと少し食傷気味。

 

とはいえ、この映画は絵的なルックからポップな色彩で、観ていてそのテーマの重みを中和させていて、とても観やすい一本。

 

いい映画のテーマソングは、その映画の余韻に何度も浸れるツールとなって、この映画の冒頭のタイトル曲「Charli XCX - Boys [Droeloe Remix] 」は、まさにこの映画のテーマでもあるその重みをポップにキャッチーに変貌させている象徴でもある。

 

ブリトニー・スピアーズの「Toxic」をサンプリングした曲が後半流れるシーンからのクライマックスは、悲しみと爽快さが入り乱れてなんとも言い難い気持ちになる不思議な余韻。

 

こういった映画だと、センセーショナルなシーンがあったりしがちだけれど、そういったシーンは過度に控えていながら、何があったかはその後のシーンでしっかりと伝わるというところも秀逸。

 

派手なシーンはなくても、しっかりハッとするシーンが用意されていて、エンターテイメントとしても成立していながら、女性を強く応援する映画に仕上がっていて、多くの人に観て欲しいと思える映画です。

 

ファーザー

ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配する介護人を拒否していた。そんな中、アンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられショックを受ける。だが、それが事実なら、アンソニーの自宅に突然現れ、アンと結婚して10年以上になると語る、この見知らぬ男は誰だ? なぜ彼はここが自分とアンの家だと主張するのか? ひょっとして財産を奪う気か? そして、アンソニーのもう一人の娘、最愛のルーシーはどこに消えたのか? 現実と幻想の境界が崩れていく中、最後にアンソニーがたどり着いた〈真実〉とは――?

 

アカデミー賞を2部門受賞して興味が湧いて観にいったファーザー。

 

これが、自分にとって非常に大切な映画になったのは、自分自身が40代を超えて、親の老後や介護を気にする様になったからか。

 

認知症が本人の視点でどういう状況なのかを映画にしたことで、とてもその症状に理解が深まりました。

 

時系列がめちゃくちゃになり、登場人物も急に入れ替わる。

 

Aだった人物が、次のシーンで突然Bになり、全く理解ができなくなる。

 

それが認知症なんだと。

 

映画を見ている観客にとってその状況はまさにホラー、スリラー。

 

いったい何が真実で、何が違うのか。

 

主人公アンソニー本人が言っていることが正しいのか、それとも娘アンの言っていることが正しいのか。

 

そもそも、この部屋はどこなの?

 

と、不安がずっと続く状況は、認知症の本人が一番の恐怖を感じ、その恐怖が家族に暴力的な言葉となって傷つけ、関係性に距離を与えてしまう。

 

そんな本人の心境と状況がわかるだけでもこの映画を観る価値はあると思います。

 

空白

ある日突然、まだ中学生の少女が死んでしまった。スーパーで万引きしようとしたところを店長に見つかり、追いかけられた末に車に轢かれたというのだ。娘のことなど無関心だった少女の父親は、せめて彼女の無実を証明しようと、店長を激しく追及するうちに、その姿も言動も恐るべきモンスターと化し、関係する人々全員を追い詰めていく。

 

邦画が全然アレルギーだったのに、ここ数年で邦画を観る機会が増えて、随分克服されました。

 

そんな邦画アレルギーだった僕が今年のベストに掲げるのがこの「空白」という作品。

 

冒頭の中学生の少女の交通事故シーンから、もう重くて辛いのですが、自分の中の正義を揺さぶられ続けて、最後には心が晴れるような気持ちに。

 

主に、被害にあった少女の親を演じる古田新太と、その交通事故のきっかけを作ってしまったスーパーの店長を演じる松坂桃李の視点で描かれるのですが、演者の皆さんの演技がみんな素晴らしすぎて、感情を演出するような音楽がほとんどかからないこの映画においては、その演技だけでしっかりと観客がその感情を読み取ったり、感情移入をすることにつなげている。

 

前述した「ファーザー」が認知症の疑似体験映画ならば、この映画は交通事故の加害家族と被害家族の疑似体験といったところ。

 

普段ニュースで見ているこういった事故は、その表面的な報道だったり、偏ったコメンテーターの意見だったりのせいで、当事者が随意分振り回されてしまうということがこの映画からよくわかる。

 

後半、ある意味加害者になってしまった松坂桃李演じるスーパーの店長が、感情を爆発させた後に取る行動からの、シーンが変わって古田新太演じる被害者の父親の元に届く電話のシーン。

 

それぞれがいったいどうやってこの出来事に「折り合い」をつけるのかは、実際に映画を観てぜひ確かめてください。

 

そして、観た後はいつも以上に交通安全に気をつけているでしょう。

 

ラストナイト・イン・ソーホー

ファッションデザイナーを夢見るエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、ロンドンのデザイン学校に入学する。しかし同級生たちとの寮生活に馴染めず、ソーホー地区の片隅で一人暮らしを始めることに。新居のアパートで眠りに着くと、夢の中で60年代のソーホーにいた。そこで歌手を夢見る魅惑的なサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)に出会うと、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。夢の中の体験が現実にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズは、タイムリープを繰り返していく。だがある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。その日を境に現実で謎の亡霊が現れ始め、徐々に精神を蝕まれるエロイーズ。そんな中、サンディを殺した殺人鬼が現代にも生きている可能性に気づき、エロイーズはたった一人で事件の真相を追いかけるのだが……。

果たして、殺人鬼は一体誰なのか?そして亡霊の目的とは-!?

 

監督のエドガー・ライトの前作「ベイビー・ドライバー」が、音楽と映像の完全なシンクロ映画として傑作だったので、今作も期待していたら、今回はホラー映画とのこと。

 

とはいえ、今作も音楽のセンスがまた良くて、ホラー映画×ミュージカルと言ってもいいくらい、音楽、歌がこの映画にとって重要な役割を持っています。

 

60年代のロンドンの華やかなショービジネスの世界を、60年代の音楽と共に映像にした冒頭は、とても美しくて古き良きロンドンを体感できる。

 

夢の中で主人公エロイーズは、歌手を夢見るもう一人の主人公サンディになり、クラブに自分を売り込みに行き、そのクラブの支配人であるジャックと恋に落ちる。

 

その恋に落ちるシーンをワンカット長回しでクラブ内でダンスで表現するのですが、CGを使わずに夢の中の主人公サンディと現実世界の主人公エロイーズが入れ替わり立ち替わりジャックと踊るシーンは、見どころの1つ。

 

前作「ベイビー・ドライバー」で音楽と映像を見事にシンクロさせたこの監督ならではなシーン。ぜひ観て欲しい。

 

しかし、そこから映画は不穏な世界に。

 

徐々にホラー映画にフェイドインしていき、しっかり怖い。

 

この主演の二人が前半とてもキュートで魅力的なキャラクターだっただけに、後半の陰とした表情に移っていく様は観ていてとてもハラハラする。

 

ちょっとそれそのキャラクター可哀想すぎない?と少しモヤモヤするところもある映画なのですが、美しい映像と音楽、主人公二人の魅力だけでも十分エンターテイメントとして優れていながら、しっかりとテーマを感じ取れる内容にもなっているところに深みがある作品になっています。

 

「プロミシング・ヤング・ウーマン」とセットで観ると、昨今のMETOO運動について考える良い機会になるかもしれません。

 

 


 

いかがでしたでしょうか?

 

オーナー村山の2021年ベスト映画4本を紹介しました。

 

紹介した4本以外の映画も素晴らしい作品がたくさんあるので、このお正月にどんな映画を観ようかお悩みの方は、ぜひ参考にして観てください。

 

最後に番外編として、ワースト映画もご紹介。

 

愛のあるワースト映画はこちら。

平成元年生まれの高橋漣と園田葵。

北海道で育った二人は13歳の時に出会い、初めての恋をする。

そんなある日、葵が突然姿を消した。

養父からの虐待に耐えかねて、町から逃げ出したのだった。

真相を知った漣は、必死の思いで葵を探し出し、駆け落ちを決行する。

しかし幼い二人の逃避行は行く当てもなく、すぐに警察に保護されてしまう。

その後、葵は、母親に連れられて北海道から移ることになった。

漣は葵を見送ることすらできないまま、二人は遠く引き離された…。

それから8年後。

地元のチーズ工房で働いていた漣は、友人の結婚式に訪れた東京で、葵との再会を果たす。

北海道で生きていくことを決意した漣と、世界中を飛び回って自分を試したい葵。

もうすでに二人は、それぞれ別の人生を歩み始めていたのだった。

そして10年後、平成最後の年となる2019年。

運命は、もう一度だけ、二人をめぐり逢わせようとしていた…

 

 

今年も芸能人の結婚のニュースが報道されましたが、この二人が自分の中ではその中でもベストカップル。

 

何度か共演していて、特に印象に残っているのは「ディストラクション・ベイビーズ」。

 

菅田将暉がとんでもないクズ野郎で、全く好きになれないキャラクターなのですが、菅田将暉の演技が演技と思えないリアルさでやばい奴感がビンビンで菅田将暉のファンになってしまいました。

 

共演の小松菜奈も、ひどい巻き込まれ方をして可哀想な役なのですが、絶望を感じるその演技が凄まじい上、そのルックスの良さもあって映画をしっかりと引っ張っている。

 

「ディストラクション・ベイビーズ」自体は胸糞映画なので、全ての人にオススメできるような内容ではないのであしからず。

 

そんな、自分の中のこの二人のイメージを更新させようと思って観たのが今回の「糸」。

 

純愛ラブストーリー映画なんて、もう何年も観ていないですが、この二人が主演ならと観てみると、冒頭からもうおもしろ演出で。。。

 

幼少期の頃の二人の映像からスタートして、シーンは花火大会。

 

土手沿いにヒロインの女の子が友達と花火を見終わった頃、主人公の男の子が花火に間に合わない〜と急いで自転車を漕いできます。

 

子供がその自転車の前に飛び出してくるのを避けると土手の上から、走ってきた自転車だけヒロインの女の子の頭上を飛びます。

 

自転車が飛びます。

 

大げさじゃなく、自転車が。自転車だけが、飛びます。

 

当然乗ってた本人も転げ落ちるのですが、随分派手に自転車も飛んで、転げ落ちる中学生の男の子がいながら大人は一切駆け寄らない。

 

心配で駆け寄ってきたのは、ヒロインの女の子だけ。

 

花火大会で人が大勢いるのに!?

 

なんとなく、冒頭からバカにされたようなスタートで気持ちが滅入ってくるのですが、その後もベタベタな、もう見てるこっちが恥ずかしくなるような演出が続きます。

 

予告編でもあるように、中島みゆきの名曲「糸」をモチーフにした映画なので、劇中中島みゆきの曲がいくつか流れてくるのですが、それも急に流れてきてしかも長い。

 

 

色々あって、小松菜奈ちゃん演じるヒロインがシンガポールで立ち上げたネイル事業が大成功するのですが、小松菜奈ちゃんが英語を喋るシーンが全くない。

 

一言だけ。あなた英語を喋れるの?と現地の人に聞かれて「A little...」この一言だけ。

 

え?現地で何年も住んでビジネスも大成功して、メディアの取材も受けているのに、英語を喋るシーンがない。

 

共演しているビジネスパートナー役の山本美月ちゃんは英語のセリフがあるのに、頑なに小松菜奈ちゃんに英語を喋らせない。。。

 

そう言う謎の演出がいくつかあって、色々ストーリーに関係ないところが気になっちゃうんですよね。

 

もう観ていてズバ抜けて今年のワースト映画、冒頭から終盤までずっとワースト決定っと思いながら観ているのに、なぜか全然この映画を嫌いになれない。

 

菅田将暉の演技力と、小松菜奈ちゃんのスター性。

 

元気で明るい役だった榮倉奈々ちゃんにガンが見つかって、その後の闘病生活の役作りがまた素晴らしい。

 

どんどん痩せていって、あぁ末期でもう持たないんだなというのがよく伝わる。(しかし、結局最後まで何のガンなのかは劇中では語られない)

 

また、榮倉奈々ちゃんの両親役の永島敏行の演技も素晴らしい。(ただし、演出は本当にひどい。びっくりするような演出が演技を台無しにしちゃうのは相変わらず)

 

小松菜奈ちゃんもシンガポール先でパートナーに裏切られ、失意のどん底でシンガポールにある日本の定食屋みたいなところで突然カツ丼を頼んで食べるシーンがあるのですが、その飲食店で流れているのがタイトルにもある「糸」。

 

ここでこの大事な曲使うの?というツッコミもあるのですが、もうこの頃には観ている自分も慣れちゃってます。

 

小松菜奈ちゃんが泣きながらカツ丼を頬張る演技だけで十分楽しめる自分がいます。

 

それと、菅田将暉の友人役の成田凌がカラオケで歌唱するシーン。

 

色々と失意の中で中島みゆきの「ファイト」をカラオケを歌うのですが、その叫びとも取れるような熱唱は決して上手いとは言えない歌い方なのに、その辛い状況の自分たちを励ますような熱唱の演技が素晴らしい。

 

というように出演者の演技は本当に素晴らしくて、演出の酷さの怒りを納めてくれるという、いろんな感情が湧き上がる映画です。

 

まぁ、話はずっと菅田将暉と小松菜奈のすれ違いの恋のストーリーなんで、ベタベタなすれ違い方をし続けて、結局最後はどうなるの?という興味の持続で2時間を持たせるという点と、俳優陣の演技を楽しむ点で成り立っている映画です。

 

本当に映画自体は演出が全然ダメなのに、作品が嫌いになれないという不思議な映画。

 

自分にとって2021年のワースト映画なんです。でも出演している俳優陣が大好きになる映画です。

 

菅田将暉と小松菜奈ちゃんの結婚をお祝いしつつ、色々と映画にツッコミを入れながら、このお正月に鑑賞してみてはいかがでしょうか?

 

ワースト映画が一番文字数多いじゃん(笑)